工 法
橋梁架設工事や大空間・特殊構造物建設工事は、様々な条件に合わせて多様な工法を
使い分け、あるいは組み合わせて行います。ここでは、代表的な工法を簡単に紹介します。
送り出し工法
河川、鉄道、道路上をまたぐ橋梁の架設に主に用いられ、桁下にクレーンやベントを設置できない場合に、橋体を取付道路上、既設桁上あるいは仮設軌条桁上で組み立て・橋軸方向に送り出して据え付ける工法です。
この工法には、送り出す桁の先端に手延機を取り付けて送り出す手延式送出し工法、架設桁上を台車または吊下げ装置により支持した状態で送り出す架設桁送出し工法、据え付ける径間に設置した移動ベントや台船に桁先端をあずけて送り出す移動ベント送出し工法、台船送出し工法等、多様な工法があります。
施工例
- ウエストパークブリッジ
- 北陸新幹線 早苗Bi
- 西浦和跨線橋
- 旭橋架設工事(JR部)
- 大宮ほこすぎ橋ローゼ桁架設工事
- 盛南大橋(開運橋)
- 奈良大橋
- 第二上条跨線橋
- 藁科川橋
- 八戸跨線橋
- 北千曲川橋
- 一庫大路次川橋
- 釈迦内こ線橋
- 第4千曲川橋りょう
- 黒沢高架橋
- 常葉川Bo架設工事
- 有松高架橋
- 八千代Bi
- 林崎橋
使用機材
- 手延機
- 台車
- 軌条
- 軌条桁
- 推進装置
- 架設桁
ケーブルクレーン工法
ケーブルクレーン工法とは、ケーブルクレーンを用いて、橋体の組立、架設、運搬する工法です。
この工法には、桁下にベント設備を設置して架設するケーブルクレーンベント工法、ベントを設置せず張り出しながら架設するケーブルクレーン片持式工法があります。
ベント工法および片持式工法が不可能な場合は、橋体をケーブルで支持する方法が用いられます。
これには、吊橋のように張り渡されたケーブルからハンガロープにより橋体を吊り下げながら架設するケーブルエレクション直吊り工法、斜張橋のように鉄塔頂部から斜めに張ったケーブルにより橋体を吊り下げながら架設するケーブルエレクション斜吊り工法があります。
施工例
使用機材
- ケーブルクレーン
- 鉄塔
- 直吊設備
- 斜吊設備
自走式クレーン工法
自走式クレーン工法とは、長尺のブームとクレーン機能を有した大型の車両である自走式クレーンを用いて橋体の組立、架設する方法で、最も一般的な工法です。
一般にはベント設備にて部材を支持しながら架設する自走式クレーン工法が多く用いられますが、ベントが設置出来ない場所では、自走式クレーン一括架設工法等が用いられます。
施工例
使用機材
- ベント
- 自走式クレーン
- ベント基礎
大型クレーン工法
最大3000t吊級の大型自走式クレーンを用いて、地上で組み立てた桁を一括架設する工法です。鉄道上や道路上などに架橋する際、き電停止や道路通行止めなどの規制を大幅に削減することができ、全体工程短縮にも寄与します。
施工例
- 青葉IC
- 首都高速1号羽田線八潮連絡路
使用機材
- 大型クレーン
- 大型クレーン基礎
- セッティングビーム
横移動・旋回工法
架設地点の側方で組み立てた橋体を最終位置へ横移動して据え付ける工法です。この工法は、架設地点の状況に応じて、送り出し工法との組合せで用いられる場合があります。
施工例
- JR東海 箕輪架道橋
- 六番町Bo架設工事
- 寝屋川橋梁
- 門真ジャンクション
使用機材
- 横移動軌条
- 旋回軌条
- 横移動装置
- 旋回装置
台船架設工法
台船架設工法とは、甲板が平らな船に橋桁を搭載し、海上部や河川流水部に架橋する工法です。水深と水域が十分確保された場所で、大型の台船に載せて一括架設することで航路等を規制する回数も削減され工程短縮にも寄与します。橋桁を搭載し運搬・架設する際には、潮位差に加え台船内へ水を注排水する他、潮位差が少ない場合にはロングストロークのジャッキや吊り下げ装置を併用することもあります。
施工例
- ござれや阿賀橋
- 妙典橋
- 千住汐入橋
使用機材
- 台船
- 警戒船
- ベント設備
- ジャッキアップ・ダウン設備
多機能ステージ工法
多機能ステージ工法とは、重量物を支える機能を備え、車両走行可能なステージを有する移動可能なステージを用いて、ステージ上で鉄骨組立てをすることで高所作業を減らし安全に作業できる工法で、大スパン屋根などの建方に使用されます。
施工例
- 横浜火力
- 千葉火力
- 品川火力
- 富津火力
リフトアップ工法
ベアロックジャッキ式リフトアップ工法とは、油圧をかけるとロックを解除しピストンを押し上げる機構を有するベアロックジャッキを用いて、安全にリフトアップ工事ができる工法です。リフトアップしている鉄骨を機械的に保持できるので、不測の事態でも安全を確保できます。
施工例
- ナゴヤドーム
- 大阪ドーム
- 東京国際展示場
- 東京宝塚ビル
- 日本青年館
- 有明体操競技場
- 東京アクアティクスセンター
リフトアップ併用トラベリング工法
メガトラスなどの大空間・大重量建物に適用。地上で地組を行い、パワーリンクシステムを使用してリフトアップ・スライドを行い、定着させる。移動ガーダーを使用した大スパン構造物の吊り上げ併用トラベリング工法。
施工例
- 日本テレビ新社屋渋谷ヒカリエ
クライミング式防護システム
クライミング式防護システムとは、高い鉄塔などの鉄骨工事を行うときに使用する飛来落下防護と作業足場を兼用したシステムです。その特徴は、鉄骨建方に合わせて防護設備を組立・解体することなく全体をせり上げ、せり下げできるため、仮設工事の高所作業量を減らし、かつ鉄骨工事を防護工内部で安全に作業できます。
施工例
- NTT埼玉タワー
- 三菱電機試験タワー
高層煙突解体工法(だるま落とし工法)
高層煙突解体工法は、鉄塔支持型煙突の筒身の解体を地上で安全に行える工法です。ベアロックジャッキ式リフトアップ設備などの揚重設備を用い、筒身内部耐火材のハツリと筒身材の切断及び撤去、リフトアップ設備による筒身全体のリフトダウン作業を繰り返し、煙突を解体します。だるま落としのように筒身を解体していくことで、高所作業を大きく減らし、安全に作業ができます。鉄塔はクレーンを使用して、頂部より切断、撤去していきます。
施工例
- 磯子火力煙突解体